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「街のその一瞬を、未来へつなぐ」

プロローグ

 ある晴れた日、垣生海岸の防波堤に立つ。
 どこまでも透き通るような青い空。北には、はるか遠くに四阪島や魚島、その奥に芸予の島々が、静かな燧灘の沖に浮かんでいる。南には、深い緑を湛えた険しい石鎚や赤石の山々が迫る。
 空と海と山の狭間で、三百年の時を超えて今に続く工都の明かりは、今日もこの地に生きる人々の心を照らしている。その街の中で現れては消えていく一瞬の出来事の数々。故郷に生きる私にとって、その一瞬一瞬が人々の記憶から忘却され、静かに消えていく事に、とても心が締め付けられる。
 人が人生という道を往く旅人であるように、街も栄枯盛衰を辿る旅人であり、また時代によって姿や形を変えていく生き物だ。その街の一瞬のかがやきをこの目に焼き付けるように、私は今日も旅人となり街を歩く。

筆者の紹介とメディア立ち上げの経緯

 筆者は、新居浜に生まれ育ち、今も新居浜で働き暮らす、平凡な人間です。幼い頃から私はある漠然とした疑問を心に抱えていました。「私はなぜ、何の為にこの地に生まれてきたのだろう。」その答えを探して、両親や祖父母に先祖の話をよく質問していましたが、父方、母方ともに古くから新居浜で暮らす家系である事が分かっているだけで、いつ頃からこの地にいるのか、どういう理由でこの地にやってきたのかなど、細かい話については分かりませんでした。
 そんな中小学校低学年の私は、社会科の授業で「わたしたちの新居浜市」という地域学習の教科書に出会いました。別子銅山、多喜浜塩田、吉岡泉、市政誕生、そして今に続く工業都市としての繁栄。他の街とは唯一無二の歴史に心を打たれ、時間がある度にその本を取り出しては、色々なページを眺めていました。それが、新居浜という街についての強い興味の始まりで、また郷土の歴史から自分のルーツを辿りたいという想いの始まりでした。
 「もっと詳しく新居浜の事が知りたい」と図書館に通い、色々な郷土資料を借りました。企業や資本家、偉人についての新たな発見がある中で、あまり知られていない隠された歴史も多く存在する事に気付きました。そして当時の労働者の日常生活や思い、考えなど、住民の視点で語られた資料が少ない事にも気付き、「支配階級ではない、一般市民による生活史」の必要性をいつしか感じる様になりました。
 今、この瞬間の地域社会にあふれる、一見書き留める必要もない様な一瞬の出来事の数々。その蓄積こそ、後世において求められる、街の大きな財産になるのではないか、そしてその情報の収集と研究は、街に住む者の役目なのではないかと思い、学生以降、地域生活史の収集と研究をライフワークとして活動していく様になりました。
 そんな私のライフワークの成果を紹介するメディアとして、2022年5月、「燧翔報通研究社」を立ち上げました。新居浜生まれ、新居浜育ちの「新居浜人」の視点で、街の知られざる歴史のストーリーや現在地域社会の出来事を生活史として紹介する中で、自分のルーツとこの街に生きる意味の答えへといつか到達できればと思っています。

当メディアがクローズアップする一瞬

  1. 歴史の一瞬に焦点を
     戦国時代の1585年、天下統一を目論む豊臣秀吉の指示する小早川の軍勢を前に、新居の未来のために長曾我部元親と交わした約束を守り、圧倒的に不利な戦況の中で武士道を貫き通し、仲間達と死闘を繰り広げ、野々市の原で散っていった金子備後守元宅。そして江戸時代の1691年、別子の深い山中から始まった新居浜と住友の今に続く300年の産業の歴史。そこには一口では決して言い表せない、激動の物語が秘められていました。世界にここだけの、ここだけにしか無い歴史に生きた人々のストーリーを追います。
  2. 日々変化する街の一瞬に焦点を
     日を追うごとに変化し、便利になる現代社会の中で、生き物の様に変化していく街の風景。街に新しい何かができる時、あの何とも言えない期待に駆られるのは何故だろうか。街から大切な何かが無くなってしまったとき、あの深い虚無感に襲われるのはなぜだろうか。刻々と変わる街の顔を、市民の立場から生活史として紡ぎます。
  3. ローカルライフの一瞬に焦点を
     街の北側には穏やかで静かな燧灘が広がり、南には青々とした険しい石鎚山地が連なる。自然と工業が調和する静かな街、新居浜。そんな街のローカルライフがちょっとだけ面白くなる様な情報をお届けします。

サイト名の由来

 防波堤を見下ろすと、陽の光を浴びてキラキラと揺れる穏やかな海。沖の向こうには数隻の貨物船が錨を下ろし、静かに浮かんでいる。その隙間を縫う様に、小さな漁船が波飛沫を上げながら忙しなく通り過ぎていく。遠く霞んだ水平線からおぼろげに見える二、三の小島をボーッと眺めていると、すぐ近くの浅瀬で一匹のボラが大きく跳ねる。
 長い灰色の冬が終わって、景色がようやく色づきだす頃、瀬戸内海の燧灘、垣生海岸で見ることができる、静と動の対比が美しい、春の到来を実感する風景の一コマです。太平洋や日本海など外海の荒々しい雰囲気もいいですが、燧灘の白波も立たないゆるやかな静けさは、見ていてとても癒されます。
 そんな私の心の風景である燧灘から「燧」の字を取り、その燧灘に面する東予東部地区のさらなる飛翔を願う気持ちから、「翔」の字を取りました。そして情報を伝える事の責任と重要性を重んじるメディアの姿勢を強調・補足するものとして、「報通(報知通信)研究社」を付け加えました。

当サイトが伝える情報のエリア

  • 新居浜市全域
  • 西条市(旧西条市域)

情報発信の基本方針

  1. 事実・史実に基づいた客観的、多角的な情報を発信する。
  2. 中身があり具体的かつ充実した情報の記事を発信する。
  3. 流行にとらわれない筋の通った情報を発信する。
  4. 独自性、独創性のあるユニークな情報を発信する。

プライバシーポリシー

サイト概要

サイト名燧翔報通研究社 Suisho Hotsu Research
URLhttps://suisho-htr.com/
運営組織燧翔報通研究社
運営方式非営利・個人
開設日2022年5月